第零章[始まりは突然に]

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ふとした瞬間にいつも、漠然とした本当に拙い疑問が沸き上がる。 例えば、自分の生に対する意味や死に対する価値を知っている人間がこの世の中にいるのか。 生まれる前から決まっているような存在理由とか、そんな物が有るかもわからないのに悟る人間はいるのか。 そんな事を馬鹿のように真面目に考える。 こんな疑問が湧いてしまうのは、きっと俺自身が“それ”を嫌い、否定しているからだろう。 意味だとか価値なんてこの曖昧な世界である訳がないのだと、俺は知っている。 この世界で存在する全てに言える事で、生や死は無意味で無価値。 何かの理由が有って起きる事なんてない。 物事には意味や価値があって、理由があるんだと思い込んでいるだけだ。人間が勝手に。
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