第零章[始まりは突然に]

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じゃあ何故、有りもしない意味や価値という漠然とした“それ”のせいにして、人間は生きているのか。 それは俺達人間なんて物は価値が無く意味も無い自分を知るのが怖いからだ。 人は誰しも、孤独を嫌う。 何も無い自分を認められない。認められる程強くない。 だから意味や価値を信じ、それに甘えて生きている。 何も無い自分に恐怖し、孤独感を味わいたくないから、意味とか価値を妄想(つく)るんだ。 少なくとも、俺はそんな物の為には生きない。 意味や価値の為になんか絶対に。 そんな物があるから、孤独になるんだ。 誰もが意味や価値を求めるから、求めない人間は孤独感を感じるし、求めない人間がいるから求める人間もまた、孤独感を感じる。 だから俺は無いと否定してやるんだ。
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