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俺の身体はえらく疲労を感じていた。
昼間は親戚が営む小さな鉄工所に身を置き、夜はコンビニで朝方近くまでひっそり働いた。
歳は18。年齢だけなら世の中では高校生というやつだ。
ただ俺に学生は出来ない。
何故なら、俺の両親はクズだったから。
毎日毎日、飲んではギャンブルに溺れ、挙げ句に失踪。
俺の中学生時代には既に多大な借金だけで、二人の姿なんて無かった。
良くある話さ。恨みはしない。ただ、働いてれば他に何もいらないから。
別に悲しくも無かった。少し、疲れるだけ。
休むことも無く日々削られていく睡眠時間。
いつの間にか、がっしりとしていく肉体をそんな少量の睡眠で癒すことなんか出来るはずもなく。
ただただ疲れていく。
心も身体も。
生きている意味なんか有る訳無い。
価値なんて有る訳無い。
代わりはいくらでも居るんだから。
俺じゃなきゃならない意味も、理由もないさ。
いや、他の誰かであってもそれは同じ……か。
冷たい風が頬を突き刺す中、手に握り締めたコンビニのビニール袋からは、微かに湯気が漏れている。
「冷めちまうな…」
誰にでもなくそう呟き、ふと見える寂れた公園に足を運んだ。
なんて事はない。錆び付いた遊具。一体俺は何年振りの訪問者なんだろう。
それ程までに寂しい公園だった。
夜中だから人が居ないだけ。そう言われればそういう事なんだろうが、所謂雰囲気だ。
風で揺れる赤いブランコ。所々錆びペンキは剥がれている。
少し鉄独特の刺激的な臭いが鼻を刺す。
俺は何も考えずそれに腰掛けるとビニール袋からまだ温かなおにぎりを取り出した。質素で、安っぽいそれをただ見詰めた。
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