過去

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「壱羽さん?」 授業と授業の間の休み時間、日直だった私は黒板を消していた時のこと。 突然、秀が話しかけてきた。 「はい?なんでしょう?秀さん。…てか、何?急にかしこまって?」 「…」 秀は真っすぐに私を見つめて、何か考えてるみたいだ。 「何?何?」 「んー、今日一緒に帰ろっか?」 「あ、うん。…それだけ?」 「うん、それだけ。」 秀の様子が何かおかしい。 今までも一緒に帰ろうって誘われたことはあるけど、今までなら… 「壱羽、帰るぞ!」 とか、 「壱羽、今日買い物に付き合え。妹の誕生日がもうすぐだから。」 とか、 「今日カラオケ行くぞ!」 的な感じだったのに。 何をいきなりかしこまって? そんな誘われ方したら、なんか変じゃん? てか、変!変!変! 秀、変! 「壱羽、お前今俺の事、変だって思ってるだろ?」 「ん?思ってないよ。」 しまった、秀には私の思考回路が読まれてるんだった。 「嘘つけ。顔に出てる。」 「ちょっとだけ思いました。」 「だろうな。…放課後、三角公園で待ち合わせな。」 「はいはい。」 ほらね、やっぱり変だ。今更、待ち合わせするだなんて…。
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