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今になって思う。
「大事なことは、大事な時にだけ伝えるの。」
って、あの時、秀に言ったけど、そもそも私が秀を常に好きなことは変わりなかったし、それは私にとっても、秀にとっても、二人が一緒にいる上では大事なことだから、自分の気持ちを常に伝えてても良かったんじゃないかなって思う。
そもそも大事な時って言ったけど、大事な時っていつだよ?って話だし、二人でいる時間を大事って言わないの?って話になる。
あぁ、もっともっと伝えておけば良かったな。
どうして私は素直になれなかったんだろう。
もう、届くことのない、行き場を無くしたこの声が、私は憎い。
「あら、やっぱり付き合うことになったんだ。壱羽、おめでとう!」
その日のうちに、沙羅姉には報告。
「やっぱりって何?」
「んー?なんていうのかな?女の勘?壱羽と秀君の雰囲気を見て?…よく分かんないけど、なんか二人を結ぶ強いものがあるなって。」
「…うん、よく分かんないね。」
「ごめん、壱羽。余計ややこしくした。」
「うん。頭の中ごちゃごちゃ。」
「気にしないで。とにかく、付き合うだろうなってこの沙羅姉は、予想してたのっ!」
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