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入学式、私は合格発表の日と同じように沙羅姉の自転車の荷台に乗っていた。
「そういえば壱羽、制服似合ってるじゃん。」
「本当?沙羅姉には敵わないけどねぇ。」
そう言って私は舌を出して微笑んだ。
今日は絶好の入学式日和!ぽかぽか暖かくて、風も心地好い!
「んー!最高っ!!」
私は叫びながら、沙羅姉の後ろで、手足を思いっきり伸ばした。
「壱羽は相変わらずだね。」
「相変わらずですよぉ!」
「ね、ね!壱羽?」
「何?」
「壱羽、どうなったの?あの子と。」
「ん?誰?」
「合格発表の日に知り合った男の子。」
沙羅姉のその言葉に私はドキっとした。
そして、あの日の笑顔を思い出した。
どうしようもないぐらいの眩しい笑顔を。
「あぁ…。って、何で沙羅姉知ってるの?」
「え?全部見てたもん。一部始終。」
合格発表の日の帰り道や、ナナカフェのパフェを食べてる時は、何も聞いてこなかったくせに。沙羅姉め、ちゃっかり見てたのか…。
「なんでもないよ。ただ、自己紹介しただけだし…。」
「そう。なんかあるといいねっ!」
「ちょっとぉ、沙羅姉、からかわないでよね。」
そんな話をして、沙羅姉にからかわれているうちに学校に着いた。
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