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「詳しくは分からないが無かったと思う」
「地鎮祭はやったのか?」
「もちろんやった」
「そのとき神主は何も言わなかったのか?」
「その場にいなかったので分からない」
「死亡が相次いでいるのはそこの区画だけなのか」
「その通り」
「前の地主は何も言っていなかったのか」
「俺は特に何も聞いていない」
「亡くなった人の共通性は?」
「今は分からない」
「おまえの親父さんが亡くなったのは偶然か?」
「それは全く分からない」
アキバの親父さんは1年ちょっと前に癌で亡くなっている。まだ60歳前で、現代なら十分
若死の部類に入るだろう。
その区画を分譲したのは、まだ親父さんが社長をやっているときで、分譲が終わってから程なくして亡くなった。
それまでは普通だったが、ある日突然立てなくなり、病院に行ったところ頭に大きな腫瘍が発見され、その後三月と持たずに亡くなってしまった。既に癌が体中に広がっていたのだという。もちろん俺も葬式には参列している。
その後、親父さんの後を継いだのが彼であるが、その区画を分譲しているときは、他の物件を扱っていて、そのときの様子はよく分からないのだそうだ。
俺よりも地鎮祭をやった神主に相談したほうがよっぽど頼りになるんじゃないか、と言ったが
「その神主、死んでしまっている」
なんだそりゃ、と思わず突っ込んだが、冷静に考えるとかなり怖い。
「でも神主、かなりの歳だったからな。それで、うちが檀家になっている寺に頼もうかと思ったんだけど、そこの住職、どうも胡散臭いし、俺とも折が会わなくてね。誰かお祓いできる人知らないか?」
「“自称”霊能者ってやつは俺も知っているんだけど、そいつもかなり胡散臭くてね…」
「それでもいい、紹介してくれ」
そんなやりとりがあって、“自称”霊能者である人間を紹介することに。
(彼を仮に「オオツカ氏」とします)
そして数日後、アキバ、俺、オオツカ氏の3人で現地に。
到着して、界隈を一通り歩いたあと、オオツカ氏が言う。
「確かに何か感じます。しかし、何か違うというか、何かおかしいというか…」
やっぱり、こいつ怪しいなと思う。誰だってそのくらいのこと言えるだろ、と心で突っ込みを入れてアキバの顔を見ると、彼も胡散臭いものを見ているような目つきをしている。
「対処できそうですか?」
アキバが恐る恐る聞く。
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