クローバー

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 まだ風は冷たいというのに、雫はまた薄着のままで地面に座り込んでいる。  突然思い立って家を出て、寒いことにも気付かない程必死に何かをしているらしい。  風に翻る白いシャツの裾から、ちらりと泣きそうな顔が見えた。  溢れそうになる溜め息を押し殺し、足元の草を踏み分けて雫に近付く。 「何してんだよ、こんなとこで」  川沿いにある土手の草むらの中、雫は何かを探すように草を摘まんでは離すを繰り返す。 「見て分かんない?」 「うん」 「四つ葉のクローバー探してんの」  無邪気に俺を見上げる雫は、もう泣きそうな顔をしてはいない。柔らかに揺れる長い髪を、くすぐったそうに掻き上げた。
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