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確かに雫の足元にはまだ小さいクローバーの葉がこんもりと茂っている。
まったく、雫らしい。
雫は小さな頃から変わらない。やりたいことにのめり込み、周りのことは一切目に入らなくなる。その集中力が途切れるまで、じっと隣で黙って待つのが双子の弟である俺の仕事だった。
「なんでこんな時に」
「だって大樹もうすぐ出発だもん。早く渡したいんだもん」
なるほど、雫は俺に渡すために四つ葉のクローバーを探していたのか。
「そんなに遠くに行くわけじゃないし、また帰ってくるんだからさ」
嘘だ。俺はもう雫の元に帰って来るつもりはない。
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