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「奏ー、今日も遊べない?」 夕方六時。 全てが橙色に染まる交差点で、制服を着た彼女は、友人である奏という同じような格好をした人物に尋ねた。 「んー、ごめんね。勉強しなきゃいけないから。」 奏、と呼ばれた彼女は少し困ったような笑顔を見せて、そう言った。 「そっかー・・・、じゃあまた明日ね!」 「うぇーい!明日もすんばらすぅぃー芸待ってっからな!」 「おうよ相棒!!」 交差点で謎の会話をした二人はそのまま別の横断歩道を渡っていく。 そして奏は暫く一人で歩き、静かな住宅街へと入っていった。 ――――だぁ いっやー、ホント疲れるー ってか今日はホント駄目でした 図書館で本読むのに数時間潰しちゃいました、てへっ(はぁと)で許されるワケがない ど、どうしましょ、と思いつつも、私はドアノブを回し、家の中へと入っていった。 案の定父上がいまして。 挙句病院から帰ってきてそのままなのか白衣姿で私のまん前に仁王立ち。 「・・・あ、あへ・・・」 「こんな時間までどこにいたんだ?」 殺気のオーラ纏ってるぅぅぅ やばいよこれ絶対やばい。 だがしかし! こんな所でやられる私ではない。 たかだか父親如きで私はやられん、やられんよ!! 「えっと、図書館に行ってました・・・」 「図書館?何をしに?」 マズイ そう聞いてきたか ってか普通図書館って本を読む場所って分かるでし・・・あっ こ、こやつ・・・ 分かってて聞いているのか!! さすがだ さすがすぎる 「ごめんなさい・・・本、読んでました。」 「本?何の本だ?」 そう、これこそが 最大の問題なのだ。
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