black・亮

5/6

186人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
「亮!亮ちゃん!しっかりして!!」 あれから1週間。 俺の様態は急変した。 病室の中。 周りには 沢山の人がいる。 それはオカン、オトンやったり。 親友やったり。 看護師さんや医師も。 それでもはっきり見えるのは 聞こえるのは 涙を浮かべて俺の手を握る真奈だけやった。 「亮ちゃんっ…」 ただ 俺の名前をよぶ真奈だけ。 「はぁ‥っ‥真奈‥泣かんで‥」 俺はそっと 溢れ出そうな真奈の涙を手で拭った。 「亮ちゃん‥ダメ‥まだいっちゃダメだよっ…私‥亮ちゃんがいなきゃやだぁ‥っ」 「大丈夫。‥大丈夫。俺は‥な…?青い…空になんねんで…?やから、いつでも…真奈の近く…に‥おれる…やろ‥?」 「亮っ‥‥」 「お願いやから‥泣くな…」 せめて 最後は笑顔見せて。 「う…ふっ…亮ちゃんっ。私…笑うよ…?ちゃんと笑ってる…?」 「お‥ん。…めっちゃ…可愛い。…好きやで…これからも…ずっと…」 なぁ真奈… 結婚… できへんでごめんな? 結婚式も新婚旅行も… 計画たててたのに… 実行できんくてホンマにごめん。 でも… 俺な 今めっちゃ幸せ。 真奈に出会えてよかった。 真奈を愛せてよかった。 あのぬくもり 絶対忘れへんから…。 今までありがとう。 愛してる。 これが俺の 最初で最後の恋やから。 そして俺は そっと瞳を閉じた。 END
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

186人が本棚に入れています
本棚に追加