sweet・隆平

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どういうわけか今 僕は幼なじみの華ちゃんの手を引いて ホテル街を歩いています。 あ、 ホテルってラブホテルのことね。 あれは たった数時間前のこと。 「あ"ー、もう全然分からへーんっ」 「マルうるさいなぁ」 放課後 悲しいことにたっちょんと僕の男2人で テストに向けて勉強してる時に出た話題が発端やった。 「はぁ…もうあきらめよっかな…」 「あ、そういえばマルって伊藤華ちゃんと幼なじみやんな?」 「え?まぁそうやけど…最近は全然構ってくれへんのよねぇ…」 「…昨日やったかな、俺見たで」 「ふーん。そうなんやぁ」 「ここから1番近いとこのホテル街で」 「ふー…ってえっ?ホテル街!?」 あまりにもびっくりして僕は椅子を倒す勢いで立ち上がった。 「おん。何か様子おかしくてな。目もどこ見てるんか分からんくて、ふらふらしてた」 「え…」 「やから呼び止めてみたんやけど、俺の声聞くなり走って消えてもーて…」 ホテル…って ラブホテルやんね‥。 何で…? 「あ…―」 つい最近 華がよく言ってた言葉。 ―「私って…誰か1人にでも必要とされてるんかな…」― 特に気にとめてなかったけど‥ その時から華は少し変やったんかもしれへん…。 「なぁ…」 「ん…?」 「今日もおると思う‥?」 「何で…?」 「もしいるんやったら、今すぐ僕が助けに行かなアカン」 「…おん。いるかもしれん。行ってきぃ」 僕は大雑把に教科書をカバンに詰め込み 足早に教室を出た。
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