sweet・隆平

3/4

186人が本棚に入れています
本棚に追加
/88ページ
そして今にあたる。 ホテル街をあてもなく歩き回って 華ちゃんがいないか確かめた。 すると案の定 変なおっちゃんに手を掴まれてる華ちゃんの姿。 「ねぇ、君5万でどう?」 「……いいですよ」 冷たい目をして 冷たい口調で言い放った華ちゃん。 僕はいても立ってもいられなくなり いつの間にかおっちゃんと華ちゃんの間を押し入って手を掴んでた。 「なっ…隆ちゃん…?」 「すいませんけど、この子僕のですから」 そう言うとおっちゃんは 焦ったように逃げて行った。 やっとホテル街を抜けて またよく見る街並みが戻ってきた。 「…離してっ…」 「嫌や。だって離したら、またどっか消えてまうやろ?」 「……」 ただ2人でとぼとぼ歩いて 知らない間に着いてたのが小さい頃 よく2人で遊びに来てた公園。 僕は華ちゃんをベンチに座らせて 自分の上着を華ちゃんに着せてあげた。 「華ちゃんの価値はたった5万円なん?」 「…っ…」 「…もう二度と、あんなことしたアカンで」 「みんな‥っ。私の邪魔ばっか。何しようが私の勝手でしょ」 「‥以前からよく行ってたんやろ?あのホテル街。」 「‥でも、何かと知り合いに会うし何も出来ないまま」 「‥それ、ラッキーやねんで?」 「‥隆ちゃんに何が分かるのっ!」 そう言った華ちゃんを 僕はそっと抱き締めた。
/88ページ

最初のコメントを投稿しよう!

186人が本棚に入れています
本棚に追加