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「…もう疲れたよ」
静かな部屋に
梨恵の声だけが響いた。
「…ごめん」
「‥別れよ‥?」
「‥でもっ―」
「もう…このまま続けてもお互い辛いだけだよ」
「…っ…」
イヤや…
離れたくない。
「ね‥?」
「‥おん」
"離れたくない"
それが本音。
でも
俺は意地を張ってそう言った。
それに今更
別れたくないなんて言っても無駄やった。
昨日から薄々気付いてた。
だって
部屋の隅に荷物がまとめて置いてあったもんな。
「‥じゃあ‥ね」
「おん」
「…さよなら」
"さよなら"
梨恵はその一言を残し
家を出て行った。
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