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「…じゃあ、そろそろ行こうかな」
「あ…おん。せやな…」
話を終えた2人は
玄関へ向かった。
靴を履いた梨恵は
俺を見てまた
あの優しい笑顔で微笑んだ。
「…じゃあね‥!!さよなら‥」
「‥おん‥ほな‥な」
「うんっ!」
カチャ‥
そう言ってドアに手をかけた梨恵の手を掴んだ。
「っなぁ‥!」
「‥ん‥?」
「‥また‥」
「うん‥?」
「……いや、何もないわ。梨恵も幸せになりや!」
「うんっ。じゃねっ!」
パタン‥
そして閉じられたドア。
俺はどこかの線が切れてしまったかのように
そのまま玄関に座り込んだ。
梨恵はもう…
前に向かって歩き出してんねんな…。
俺には‥
まだまだ無理や思うわ‥。
いや…
きっと忘れることなんて出来へん…。
END
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