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ガサ‥
「…ん…」
ベッドの近くで物音がして目が覚めた。
「…妊娠検査薬…?」
ベッドの端に座っているきみくんが手にしてたのは
ゴミ箱に捨てたはずの検査薬。
「あっ…」
「…あ、めぐ、起きたん?これ…」
きみくんが振り向いて
あたしを見つめた。
バレたなら仕方ない。
「きみくん…あたしね…妊娠してたの。…3ヶ月だって…」
「っ…」
一瞬
きみくんの顔が曇った
そんな気がした。
「…病院も行ったよ。先生に、生みたいって言った」
「…いつから?」
「2日前、友達と遊びに出た時に気付いた‥。あたしは生む気だよ。でも、きみくんは今すごく大切な時期でしょ?だからメンバーにもきみくんにも迷惑はかけたくない‥」
「……」
「あたしは大丈夫だよ。1人でもこの子を育てていける。だからきみくんは―」
「…何アホなこと言うてんねん」
そう言ったきみくんは
あたしの手を引き抱き締めた。
「きみくんっ…?」
「辛かったやろ?誰にも言えずに1人で抱え込んでたんか?…泣くなや」
あれ…
あたし
知らない間に泣いてたんだね…。
「きみくん…っ」
「何ではよ言わんねん。俺が迷惑がる思うか?メンバーだってそうやん。お前もよく知ってるやろ?メンバーがそんなことで迷惑や言うような奴らちゃうって」
「…っうん‥。でも…不安だったの…。ホントはっ‥きみくんと離れるのも嫌で‥っ」
「アホ。俺も嫌じゃ。…めぐ‥生んでくれるか?俺とめぐの子‥」
「‥うん‥うんっ…!!」
あたしの瞳からはまた
溢れんばかりの涙が出てきた。
「俺、きっと…いや絶対世界一完璧なパパになる思うで(笑)」
そう言ってきみくんは優しく笑ったね。
あたし
すごく嬉しかったよ。
やっぱりあたしはホントに幸せ者だね。
そしてお腹の中にいる赤ちゃんも
もしかするとあたしよりも
きみくんから愛を育まれる幸せ者になるかもしれないね。
END
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