black・すばる

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あの日は確か どしゃ降りの夜だった気がする。 先生にレポートを提出しなくちゃいけなくて でもあたしはすっかり提出期限を過ぎてるのにまだ出してなくて。 "「放課後、持ってこれたらいいもんやるわ(笑)」" その日の休み時間先生にそう言われた。 いいもんって何だろう? そんなドキドキ感もあったし ただたんに特別にあたしだけ先生に会える時間が増えるのが嬉しかったから あたしは既にやる気もなく手もつけていなかったレポートに手を伸ばし 一生懸命にレポートの続きをやり終えた。 時計を見た時は もう夜の9時だった。 外を覗くとどしゃ降りの雨。 でも… あたしの家学校から近いし 何より先生に会いたい!! そう思い学校に置き傘をしてしまっていたことに後悔しながらも バカみたいに家を飛び出した。 「はぁ…。先生、まだいるかな…」 期待の反面 若干不安を感じながらも 職員室に手をかけた。 「あのー…、渋谷先生いますか?」 「あら、どうしたの!?制服びしょ濡れじゃない!!」 「…大丈夫ですっ。渋谷先生は…」 「ホントに大丈夫?渋谷先生なら少人数教室に―」 「ありがとうございます!」 よかった まだいるんだ。 先生、待っててくれたのかな?? そんなことを思い嬉しくなりながら あたしは少人数教室の扉を開いた。
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