black・すばる

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「…っ…」 指輪… 「えーっと、どこやったっけな…」 先生が後ろを向いている時に あたしはポケットから指輪を取り出した。 「結婚…指輪…?」 指輪の内側には 日にちと名前が刻み込まれていた。 「あった!!理央、これ―」 「先生、結婚してるの?」 「え…?」 あたしは指輪を先生の前にちらつかせた。 「結婚…してないって言ってなかったっけ?」 「あー‥まぁな。別に隠すつもりやなかってんけど‥。はい、貸して?後これ、お前このバンド好きやったやろ?やからこれやるわ」 そう言って先生はくしゃっと笑った。 手に持ってたのは 最近あたしと先生がよく話題としていたバンドのアルバムだった。 「‥いらない」 「へ?何で?」 「いらないから、これちょうだい」 あたしは先生の指輪をぎゅっと握った。 「ははっ。何でやねん(笑)こんなんもろたって得せーへんやん。それは一応、大事なもんやから‥」 「‥先生‥好き‥」 あたしはいつの間にか 先生に想いを伝えていた。 もう 恥ずかしさなんてなかった。 あたしを見てほしい。 生徒じゃなくて 1人の女の子として。 「理央?冗談はあかんぞー(笑)ほら、指輪返せ」 「やだっ‥冗談じゃないもんっ‥。じゃあっ‥あたしとセックスして?そしたらもう何も言わないから‥っ」 そう言うと先生は 困った顔であたしを見つめた。 そんな そんな顔しないでよ。 「何言うてんねん。俺らは先生と生徒やで?」 「そうじゃなかったら、付き合ってくれるの?好きになってくれるの!?不公平だよそんなのっ‥!!」 「‥‥‥」 生徒とか先生だからなんて… 関係ないよ…。 すごく ショックだった。 結婚していたなんて事実 受け止められないよ…。 「も…いい‥。‥ごめん。ジャージありがと」 もう無理だ。 何もかも終わっちゃった。 そもそも先生を好きになったあたしがバカだったんだね。 ホント 先生の言うとおり あたしってアホだね。 そして扉に手をかけた時だった。 グイッ― 「何やねん‥理央は‥ホンマ」 「きゃっ…」 「ええで?セックスの1回や2回、なんぼでもヤったるよ」 「へ…」 驚いた。 先生って そんなこと言うんだね。
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