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「これ…」
それはごく普通のノートで
表紙には亮の名前
そして不器用な字で
―日記―
とだけ書かれていた。
「っ…―」
そのページをめくる。
すると苦しくなる程の亮の沢山の思いが詰め込まれていた。
パサ―
流れる涙を拭った時
1枚の紙が床に落ちた。
それは…
「…っ亮のバカ…っ」
くしゃくしゃになった婚姻届け。
名前の欄には震えた字で
亮の名前と
印鑑が押されていた。
私は婚姻届けが挟まっていたであろうページを開いた。
それが
亮の書いた最後の日記だ。
[○月△日
今日は都合で、真奈は夕方に来るらしい。
はよ会いたい。
抱きしめたい。
触れたい。
笑顔がみたい。
今朝、マルに頼みごとしてあるものを持って来てもらった。
それは指輪と婚姻届け。
指輪は入院前から買っていたもので、婚姻届けは新しくもらってきてもーた物。
こんな俺に結婚なんて無理な話やけど…
それでも真奈が好きやから…。
願わくば…
真奈と幸せな生活を送りたかった。
平凡でいい。
俺と真奈と‥
2人の間に出来る子供と‥
3人で。
幸せに暮らしたかった。
おれのゆめは
もうかなわへん‥?]
最後は
ぐちゃぐちゃな字で書かれていた。
「‥うっ‥りょぉ…」
涙と一緒に
はち切れんばかりの亮への愛も溢れ出てしまいそうだよ…。
神様って……
ホント残酷。
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