sweet・亮

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「妊娠してますね。おめでとうございます」 「妊娠…」 あれから1ヶ月が経った。 急に気分が悪くなった私は病院に行き検査をした。 そして 妊娠を知った。 亮との子…。 病院の帰り 私はカバンから亮の持っていた婚姻届けを取り出した。 亮の名前の横に入るはずだった私の名前。 今は軽々と名前も はんこも押せない。 私… 亮と結婚していいのかな…? このまま結婚して 1人で赤ちゃんを育てられるかな? 前を向いて 胸はって生きていけるかな…? それが不安だった。 ねぇ亮ちゃん… 私は どうすればいいの…? やっぱり私 亮ちゃんがいないと何も出来ないよ。 「真奈はアホやなー(笑)」 そうバカにしてもいいから 「真奈って甘える時絶対俺のこと"亮ちゃん"って呼ぶな(笑)」 そうやって自慢気に笑っていいから だから戻って来てよ…。 そうやって 毎日毎日途方にくれて涙ばかり流している時だった。 ―――― ――― ―― ― 「ねー亮ちゃん~」 「あ、出た真奈の甘えん坊」 「甘えん坊じゃないよー」 「ん?で、どうしたん?」 それは 病院に入院してまだ間もない頃だった。 「亮ちゃんは、私のどこが好きになったの?」 女の子が1度は彼氏に聞いてみたい言葉。 その時私は特に何の思いもなく聞いてみた。 「俺…?俺は、真奈の下を向かずにいつでも笑ってるとこ。でも、泣きたい時は良く泣く、怒る時は怒る。そうやって何もかもに一生懸命なとこにホレた」 迷うことなく亮はそう言ってくれたね。 「まぁ…ちっさい時からずっと一緒やから、いつそう思ったかは覚えてへんけどな!」 照れくさそうに付け足して笑ってた。 私はそんな亮を思い出した。
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