black・隆平

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その次の日 隆平は久しぶりに学校へ来た。 友達からは心配の声をかけてもらってたけど 私はそんな言葉をかけてあげられなかった。 「れいちゃん…」 すると隆平は私の座っている机へやって来た。 さっきの笑顔とは違って 暗い顔。 「…何」 私はつい冷たい態度をとってしまった。 「あの…昨日は…っ」 「やだ。もうそのことは思い出したくない」 「…っ待って…」 私はそんな隆平の言葉をも無視して 友達と一緒に教室を出た。 その次の日も次の日も 隆平は私の所に来て必死に謝ってくれた。 でも 私は素直に許してあげることが出来なかった。 「…何があったかはよく知らないけど…もう許してあげてもいいんじゃない?」 友達の翔子がそう言った。 「…うん…」 「きっとれいも素直になれないだけだよ。好きなんでしょ?マルちゃんのこと」 「うん…。そーだよね。明日は私が隆平の所に行くよ」 そしたら伝えよう。 「私もごめんね」 って。 「私は隆平が好きだよ」 って 全部伝えよう。 そう… 思ってたんだ。 でも あの日から 隆平はいなくなった。
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