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「千香、かーえろ!」
ふと視線をあげると
その先には教室の扉のすぐ傍で女の子みたいにヒラヒラ手を振る章大がいた。
「あ、章大!…ってあれ、章大今日委員会じゃ…」
「しー!そうやねん、でも千香と一緒にいたいからサボるっ!!」
「えー?(笑)委員会はいかなきゃダメだよ。章大書記でしょ?書記は大事な役なんだから…」
「だって!!ここ1週間委員ばっかで千香とあんまり会われへんもん!」
「いや…でも…」
「千香はいいん…?僕と離ればなれになっても…」
とたんに涙目になって私を見つめる章大。
「離ればなれって大げさだよ(笑)」
「ぐすっ(泣)僕はいつでも千香と―」
章大がそう言って私の手を握った時だった。
「おいちんぱー!!」
普段よりさらに大きい声の村上君がすごい形相で走って来た。
「ひっ…村上君…」
「お前何やってんねんボケ!!まさか生徒会サボって千香ちゃんと帰ろうとしてたんちゃうやろなぁ?」
「んなまさかぁ!生徒会長の村上君を差し置いて帰ろうなんて…」
「ほなこの手はなんやこの千香ちゃんを掴んでるこの手はぁ!」
目の前で繰り広げられる言い合い。
「うっ…それは…」
「言いわけはえーねん。ほら行くで。すまんな千香ちゃん!ヤス借りるわ!」
「あっ、うん!章大頑張って!」
「千香ぁ~!!」
章大は村上君にがっしり掴まれると
半ベソかきながら連れていかれてしまった。
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