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ガチャ―
「ただいまー」
家に入っても
香澄の声はしない。
あれ、どっか出かけたか?
そう思い部屋の戸を開けようとすると
香澄の話し声が聞こえた。
「えー?やっぱり行くんだお祭り。彼氏と?」
どうやら友達かなんかと電話をしているよう。
「いーなぁ。私?私は行かないよ。信五が人ごみとか苦手みたいでさ。それに仕事で疲れてるだろーし、ね。しつこく行こうなんて言えなくて」
あ、前の話してる。
「うん。ん、じゃあまたねっ。お祭り楽しんで!!」
香澄は電話を切り終えたようで
ソファーから立ち上がった。
カチャ‥
「ただいまぁ」
「あ、信五お帰り!!」
香澄はさっきと違ってかわいらしい笑顔で俺を見た。
俺、だいぶ香澄のこと
我慢させてたんかな。
「‥おん‥」
「今日の晩ご飯はね~…信五?どしたの?何か目が変だよ(笑)」
「…行くか」
「え?」
「祭り、行くか!」
「祭りって…でも信五…」
「ほら、行きたいんやろ?俺も久々やしな~祭りなんか。行こうや」
「いーの…?」
「当たり前やん!一緒に花火見ような!」
そう言うと香澄は
「うんっ。いっぱいおしゃれして行くねっ」
めちゃくちゃ嬉しそうな顔をした。
ホンマに、行きたかったんやな。
よかった。
香澄の笑顔を浮かべると俺まで嬉しくなって
思わず俺まで笑ってもーた。
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