black・侯隆

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「別れろや!!あんな奴、何がええねん!」 辛かった。 見てられへんかったから。 「っ…分かんない‥。でも好き。ご飯いっぱい食べてるとこも、真剣な顔も、ふにゃってした笑顔も…。私は、忠義がいないとダメなの…っ」 「…ホンマ、アホやわ…」 やっぱり俺は 梨果の手を引き寄せて抱き締めることも 大倉と梨果を引き裂くことも出来へんかった。 ただ 梨果の涙を見つめることしか出来へんかった。 他の誰でもない 大倉が好きなんや…って 涙ながらに言うもんやから 胸がきつく締め付けられた。 良かった、もうちょっとで 梨果に気持ちを 伝えてまうとこやった。 俺がそんなこと言ったら きっと梨果は 今以上に深く悩み込むんやろうな。 そして俺は そっと保健室を出た。 END
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