black・亮

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「っ‥ごほっ‥」 いつもの病室で過ごす朝。 目がさめて急に胸が苦しくなった。 「亮ちゃん、大丈夫!?」 そう言った真奈はすぐに俺の元へ近づいて 背中をさすってくれた。 「‥っおん。…ごめん、大丈夫‥」 「無理しないでね?まだ寝ててもいいから‥」 そう言い真奈は 心配そうに笑った。 病院へ来て もう何日目? こうなるまでの時間 すごくはやかった気がする。 以前から定期的に続いていた頭痛。 それでも別に気にしていなかった。 ただ、 すこし疲れたんかな。 そう思う程度やった。 それから何日後か‥ 彼女の真奈といつもと変わらずバカみたいにいちゃついてる時やった。 急に またあの頭痛に襲われて 今度は視界までぼやけてきて 気付いたら俺は意識を失っていた。 話によると 俺はもう長くないらしい。 もっとはやくに気づいて治療をはじめていれば まだ助かる見込みはあったみたいやけど。 もう知った時には遅かった。 それから始まった長く辛い日々。 俺が死ぬのは 明日か 明後日か 何十年先になるかも知れない。 それくらい分からないこと。 俺にはまだ "死ぬ"なんてよく分からへんから はっきり意識したことはないけど ただひとつ心配なんが 真奈を残して先立つこと。
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