願ったものは、たった一つだけ

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      ーーすっかり日が長くなったなぁ。 そんな事を考えながら歩いていると、後ろから声をかけられた。振り返れば幼なじみの姿。 「あ、朝紀。お前も今、帰り?」 こくりと頷く朝紀。どうせ帰り道は途中まで一緒なので、並んで歩きだす。今日あった出来事などを話していると、朝紀が不意に話題を変えた。 「あのさ、今日……七夕だろう。母さんが久しぶりに家に来ないかって」 「朝紀ん家に?」 「あぁ。まだお前に、来るどうかかも聞いてないうちから、夕飯は張り切って作るとか言ってた」 「ははっ、おばさんらしいな」 「でさぁ……来る? まぁ、母さんはあんな調子だし、有紀も喜ぶから…できれば来てやって欲しいんだけど」 有紀とは朝紀の妹。まだ小学5年生で、悠のことも「悠姉ちゃん」と呼び、懐いてくれている。 「ん~、行ってもいいよ。おばさんの料理久しぶりだし、有紀ちゃんにも会いたいしね」 「了解、適当な時間に来い。でも、来る前に電話しろ」 「いえっさー!じゃぁ、俺急いで帰って、お母さんに言ってくるね。また後でなー朝紀ー!」 手を振りながら、とてとてと走っていってしまった悠。 「騒がしい奴」 残された朝紀はくすっと小さく笑った。 ーーとりあえずミッション、一つ目終了…かな? .
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