願ったものは、たった一つだけ

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    「はぁ~~っ、食った食ったぁ」 お腹をさすりながら縁側に倒れ込む悠。お前に遠慮って言葉は存在しないのか、と朝紀が近くに腰を下ろす。 「朝紀ん家で遠慮なんて必要ないだろう。おばさんもおじさんも、おじいさんおばさんも勧めてくる。断るほうが失礼だろう」 もっともらしい理屈をつけて自分を正当化してみる。 「悠ちゃーん、メロンもあるから食べていってね」 「本当ですかっ!やったメロン!!」 「まだ食う気かよ、お前っ!」 「知ってたか朝紀」 ーーデザートは別腹なんだぜ。 へへっとおかしそうに笑った。 「まったく…その身体のどこにそんなに入るんだよ」 「朝紀!そんなん、腹ん中に決まってるだろう!」 「それぐらい分かるわっ!」 ーーお前といると飽きないよ、本当。 何だかんだいって毎日顔を合わせている幼なじみだけれど、こんな風に過ごすのは久しぶりだ。どちらともなく笑いがこぼれる。 来年からは別々の高校に進学する予定になっている。毎日のように顔を合わせるのも、もうすぐ終わるのだろうか。 それは少しばかりの哀愁。毎日決まったように顔を見ているのに、会えなくなるのは違和感となる。 .
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