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目の前の親友は、くりっとした子犬のような目でこちらを見ている。半ば押し付けるように、包みを夏海人に渡した。
「何あげればお前が喜ぶか、全然思いつかなくて…。無難にお菓子とか思ったけど、あんま作ったことねぇし」
だから昨日、悠に教えてもらいました。夏海人にやるって言ったら、あいつもノリノリで作ってくれたし。
「クッキーにしてみた。こっ…ココアが俺で、紅茶が悠。…俺って言ってもほとんど悠と作ったようなもんだけどさ。あ!味は保障する、悠も美味いって言ったし」
もう、何言ってんだ俺。
テンパりすぎて自分でもよくわかんねぇ。もはや夏海人の顔さえ見れねぇ。
「ごめっ……俺、友達に誕生日プレゼントなんて慣れてないんだ。去年も上手く祝えなかったし…」
伝えたいのはおめでとうなのに、恥ずかしさが邪魔をして思ったままに伝わらない。
「朝紀」
友の声にちらりと顔をあげる。間違いなく今情けない顔になっているので、あまり見られたくないんだけどな…。
「ありがと」
その祝ってくれる気持ちだけでも結構嬉しいんだよね、といつもの笑顔で彼は笑った。
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