ドリーマー

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    部屋には二人きりだというのに、君は本に夢中。 あぁ、つまんねぇ…。 珍しく髪を結わずに、さらりとおろしたまま。その隙間から覗く白い首筋に目がいくのは、まぁ……仕方ない、ですよね? 触れたいな、とか 抱きしめたいな、とか。 あぁ、だけど君は本に夢中。 こっちを気にもしない。 もう、その本に嫉妬するぞー…。 後ろから近づいて、両腕で捕獲。すっかり腕の中に納まる小さな身体。 「今いいとこなんだ、邪魔するなよー」 ここまでしても本のことか。マジで本に嫉妬するんだけど。 「…せっかく二人でいるっていうのに、本ばっかり。……寂しいじゃねえか、俺のこと構えよ」 「なに、甘えてくるとか珍しいね」 くすくすと笑う君。なんか悔しくなったので、仕返しのつもりで首筋にふっ、と息をかける。 「ひゃっ!?」 いつも男言葉な君の、珍しく女の子らしい悲鳴。 ……ちくしょう、可愛い。からかうつもりだったけど、予想以上にキュンときた。 「ちょ、何すんだよ!!」 耳を真っ赤にしながら反論してくる様子も、たまらなく可愛くて……あぁ、もう駄目。 「なぁ…キスしていい?」 「はぁぁっ!?なぜそうなるっ!」 「……嫌か?」 何かを言うように口を動かしたけれど、結局君の口からでてきたのは。 「っ……好きにしなさいっ」 「…仰せのままに」 柔らかなそれに触れようとして――― .
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