4人が本棚に入れています
本棚に追加
/39ページ
勢いで渡してしまった首飾り。あの『ありがとう』がどれだけ嬉しかったかなんて、お前は知らない。
――お前のこと馬鹿らしくなるくらい好きなんて、お前は知らない。
手の平の上の簪を見つめる。結局こっちは渡せなかった。
俺がお前に買ったもの。
いつか渡せる時がきたら……それはきっと想いを伝えられた時なのだろう。
もしお前が受け入れてくれたなら、その髪にこれを挿したいな。
きっとその黒髪に桜色は栄える。
「好きだよ」なんて言える日がくるのかな。
その時、お前が笑顔だといいな。
握った簪がしゃんっ…と音をたてた。
深く、深く、深呼吸
(好き、って気持ちで)
(溺れてしまいそう)
悠-お前-っていう酸素がないと泳げないよ。この『恋』っていう海は。
Love is blind.
(君に溺れてるだけ)
#Nextあとがき
最初のコメントを投稿しよう!