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「考え方の違いだぜ。逆に言えば、前代未聞って考え方が―――」
「あなたの将来の子供が心配で仕方ありません……。」
「アタイは子供なんかいらねぇ。ガキは苦手だ。それより、また刀なんて持ち歩いてるのか」
「いけませんか?これが無いと不安で……それに、香菜弥嬢にいただいたものですし……切れ味も申し分ない。結構お気に入りなんです」
夜影が住み着くようになってから、香菜弥は護身用に刀を身につけさせた。
孔寺蓮の名によって、命を狙われる可能性も低くはない。
夜影の拳での格闘センスは皆無。様々なスタイルを試した結果、刀の扱いが一番長けていた。
よって、それまで香菜弥が使っていた刀を夜影に渡したのだ。
それからというもの、夜影はその刀を自分の体の一部と同じ様に扱い、常に身につけている。
刀を扱う故の甘さもある。
抜くコトを躊躇ってしまうのだ。
切れ味の良いそれは、力加減だけで人の命を簡単に奪うコトができてしまうからだ。
実際、命を狙われた故に相手を手にかけたコトは何度もある。
生かしておけば、相手は更なる復讐に燃え上がり、やっかいになってくるからだ。
しかし正当防衛とは言え、気持ちの良いものではない。
そしてそれが夜影の優しさであり、弱点でもある。
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