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「あ!!今良いの思いついたぜ!!」
突然手を叩き、閃きのポーズをする香菜弥。
「……急に話逸らさないでください。なんですか?」
「ピッタリな刀の名前思いついたんだよ」
「………聞くだけ聞きましょうか」
落ちている石を拾い、地面に字を書いていく香菜弥。そしてそれを見下ろす夜影
「お前の名前になぞって、『絶影(ぜつえい)』なんてどうだ?正に、影を絶つ刀……良い名前だろ」
「な、なんか殺された様な気分です……」
「つべこべ言うな!!アタイの発言に拒否権はねぇんだよ!!アタイは絶影が気にいった!!」
高笑いしながら、夜影の背中をバシバシと叩く香菜弥。加減の知らない香菜弥のそれは、背中にアザが出来そうなくらい痛い。
「い、痛い!痛いです!!わかりましたよぉ………ほら、明日も学校なんですから、早く帰りましょう」
「やだ。サボる」
「は!?なにをっ……あっ!!!」
夜影が帰ろうかと踵を返すと、すぐさま否定の言葉を返す香菜弥。まさかの返事にビックリした夜影は振り返る。
その瞬間にコンテナに飛び上がり、股を開いて両膝に腕を乗せた中腰座り、いわゆるヤンキー座りをして意地悪そうにニヤリと笑う香菜弥。
月明かりの下で強調される、紅く鋭い視線は夜影を見下ろす。
「んなめんどくせえコトやってられっかよ。歳食ってから遊ぼうったってそうはいかねぇんだぜ。じゃーな!!」
不良少女はそう言い残して姿を消した。
「はぁ……勉学の才能はある人なのに……。どこまでも世話の焼けるお嬢様です……待ってくださいよー!!」
ため息をつきながらも後を追いかける、お守り兼幼なじみ。
こんな何気ない日常が続いた。香菜弥にとって退屈しない、楽しく、かけがえのない毎日。
そして、そんな香菜弥の日常を更に変える、運命の出会いが訪れる。
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