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「香菜弥嬢。ここ最近は毎日学校に登校なされてますね。良い傾向です」
それから1ヵ月ちょっとの時が過ぎ、季節は夏真っ盛り。とある昼食の休み時間。香菜弥と夜影はいつものように屋上にご飯を食べに来ていた。
弁当は夜影作。普段の鍛練以外の唯一の趣味が、料理を作るコトだった。
香菜弥は、普段動き回っているからか、かなりの大食い。
夜影が初めて作った料理を、香菜弥が美味しそうに食べる姿を見て嬉しさを感じ、いつからか趣味として弁当を作る様になっていたのだ。
屋上、香菜弥の半径10メートルには夜影以外に誰もいない。
いつからか女番長の地位を築いて、恐れられる様になったからだ。
しかし本人は群れるのは嫌いだし、むしろ1人を好んだ。まさに一匹狼。唯一、夜影は例外である。
「なぁ、夜影」
「?なんです?」
ベンチに腰かけ、膝の上に弁当箱を広げ、微笑みながら感心している夜影に、雲1つない空を見上げ、ジュースのストローをくわえた香菜弥が尋ねる。
「なんかよ、最近体が何かおかしいんだ」
「おかしい?珍しく体調でも崩しましたか?」
「バカ、そんなんじゃねーよ。何て言うか……変なんだ」
「どんな風に?」
紺色のスカートのポケットに入れた果たし状を渡す香菜弥。
「なんですか?」
「そいつ……。そいつなんだけど、バカみたいに毎日アタイに挑んで来やがって。そのたびにボコるんだけど、最近そいつに会うと変なんだ。何か……ムシャクシャするっていうか…」
香菜弥は苛立ちと暑さから、真っ白な半袖Yシャツの制服ボタンを更に1つ外し、ネクタイを緩める。
女子高校生の体は育ち盛り。特に18歳ともなれば、そろそろ体も出来上がってくる頃である。
香菜弥は普段の行動から分かる様に、自分の容姿など気にも止めていないが、その豊満に実った胸と、鍛練によって引き締まった腰。
加えて可憐な顔立ちである。男子生徒を魅了するには充分すぎるものであった。
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