孔寺蓮家頭首、香菜弥の過去(その3)

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「よぉ。こいつ、今日からアタイの婿だ。しっかりアタイの旦那としてしごいてやってくれよ」 「私任せにしないでください!はぁ……。拳児さん、色々と迷惑をかけると思いますが、どうぞ香菜弥嬢をよろしくお願いします」 ペコリと頭を下げる夜影に、拳児もイソイソと頭を下げる。それを見て何故かニヤニヤする香菜弥。 「さてと…香菜弥嬢。さっき聞いた話なんですが、この街に、まだ今まで一度も負けたコトがない方がいるみたいですよ」 「何?誰だ」 「私達と同世代、しかも女性。その姿は誰をも魅了してしまう程美しいらしいです」 「……名前は?」 「柏崎 美華……と」 夜影の声のトーンが落ちる。それを聞いた香菜弥も、目付きが変わる。 「へぇ………」 「ダメですよ?戦おうなんて考えちゃ。一応聞いた話なんですから」 「はっ!アタイがそれを聞いて黙ってるヤツだと思うか?」 「はぁ……やっぱり話さなければよかった」 「よし、そうと決まればいくぜ!!拳児、夜影!」 「今日は平日だぞ?学校だろ」 「関係ないね!!乗り込むだけだ!!」 「ま、待ってください!場所は分かるんですか?私は分かりませんよ」 「んなもんテキトーに行けばいいだろ」 「はぁ…やっぱりパートナーができても変わりませんね…」 「まぁ、それが香菜弥の良いところだろ?」 「お前ら何モタモタしてんだ!!置いてくぜ!!」 夏のある日、先に駆け出す香菜弥と、それを追う2人を太陽がサンサンと照らした。 そして月日は流れ……
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