孔寺蓮家頭首、香菜弥の過去(その4)

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「いいじゃないか?きっとかわいくなるぞ」 香須美の頬を突いて、同じく笑顔になる拳児。 「いや、強くだ!!アタイより強くするんだ!!」 「私は拳児さんの意見に賛成です。香菜弥嬢より強くなっちゃったら世界は崩壊しちゃいますよ」 相変わらずの香菜弥に、いつもと同じツッコミを入れる夜影。 親子2代で不良少女では夜影の身も保たない。 瞬間、香菜弥は目を伏せ、一瞬笑った。夜影は不思議に思って覗き込む。 「夜影。アタイはもう嬢じゃない。これからは……香須美が言われる番だ。この子は賢くなる。アタイには分かる。アタイよりも香須美にふさわしい呼び名だ」 「そう……ですね…。香須美嬢…かわいい…」 夜影も柔らかに笑って、香須美の頭を撫でる。 今までは香菜弥を守る為に影になり、自分を守る為に剣を振るってきた。しかしこれからは…… 「きっと香菜弥に似て、しっかりするだろうなぁ」 「だといいな……」 3人で香須美を見つめ、新たな生活のスタートを予感した。 香須美の誕生は、周りにも影響を及ぼし始めた。 一番影響を受けていたのが、母親である香菜弥だった。今まで面倒くさがっていた勉強を、初めて自らするようになった。
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