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「なぁ夜影~…。香須美が泣き止まないんだが…どうすりゃいいんだ?」
特に香須美に関しては、1日中一緒にいるコトが多かった。
誰かの世話をする経験がなかった香菜弥にとっては、新しく学ぶコトばかりだった。
「あやしかたが悪いんじゃないですか?」
「そうか?普通だと思うけどな。ベロベロバー!」
「うえぇぇぇ~~ん!!」
目を両端に引っ張ってベロを出すも、余計に泣き出す香須美。そして困惑する香菜弥。
その光景を見て、夜影はクスリと笑った。
「香菜弥嬢。香須美嬢が生まれてからは随分と丸くなりましたよね」
「そうか?」
「そうですよ。昔みたいな荒々しさが無くなったというか。落ち着きが出ました」
少し前の香菜弥からは考えられないコトだ。
やはり人は自覚がないウチに変わるもので、昔から一緒にいる夜影から見れば、香菜弥の変化は明らかだった。
「そう……なのかもな」
香須美を抱っこして、窓の外を見る。かと言って、本人にも自覚がない訳ではなかった。最近は、昔程鍛練をしなくなった。
思い返すと、体が動けと疼きだす。
「よし、夜影。久々に組み手するか」
「え……。嫌ですよ恐ろしい…」
「何言ってる。最近はお前の方が鍛練の時間多いだろ」
「あんまり関係ないですよ…。それよりも香須美嬢のお世話しなくていいんですか?」
「拳児に預ける」
「はぁ…そういうところは変わらないですね…。一戦だけですよ?」
「おっしゃ!!そうと決まればさっそく道場に行くぜ!!」
香須美を抱えたまま駆け出す。
そんな周りからの刺激を受けながら、香須美もスクスクと成長していった。
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