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結局、1日経っても拳児が帰ってくるコトはなかった。
「香菜弥嬢。昨日はちゃんと寝ましたか?」
「なんでそんなコト聞く」
「目の下に隈、できてますよ」
ため息をつく夜影。
寝れるような状況でないのは分かっていた。実際、夜影自身もそれほど寝れていなかったのだから。
その時、執事が飛び込んできた。汗をかいて焦っている様子。
「…どうした」
「旦那様が…見つかりました。今ここに運ばれてきます」
態度や発言から見て、無事でないコトは明らかだった。
「お父さん見つかったの…?」
「香須美…向こう行ってろ」
駆け寄ってきた香須美の背中を押し、奥の部屋に向かわせる。
願った。神様なんて信じちゃいないが、今は願うしかなかった。どうか無事であってくれと。
しばらくしてタンカで運ばれてきたのは、願いとは違うものだった。
「ひどい……だれがこんなコト……」
夜影が悲痛な声を上げる。
そこには銃弾で所々を打ち抜かれ、いたるところが血だらけになった姿。しまいには左腕も無くなっていた。とても見ていられるものではなく、おう吐する者までいる。
拳児は簡単にやられる男ではなかった。現に、香菜弥とも互角の勝負をするようになってきていた。
その姿を見る限り、普通の人間がやったコトではないのは明らかだった。
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