孔寺蓮家頭首、香菜弥の過去(その5)

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「おい……拳児……。寝るなよ…拳児…。まだアタイに勝ってないだろう……?負けたままでいいのかよ…?アタイの旦那として恥ずかしくないのかよ!!おい!!拳児!!!!」 昔やった時の様に、胸ぐらを掴んで叫び散らす。そうすれば戻ってくると思った。 舌を出して、冗談だよって起き上がると思った。 しかしいくら揺すっても力の抜けたそれは動くコトはなかった。 「香菜弥嬢!!落ちついてください!!」 夜影が香菜弥を拳児から引き離す。香菜弥は抵抗した。抵抗したが力が上手く入らなかった。 「うっ…うっ…」 涙が止まらない。今までこんなに泣いたコトはあっただろうか。 「私だって悔しいですよ……こんなコトされて―――」 「夜影…」 夜影の言葉を遮る。 拳児は消えた。それは変えられない現実。 それは分かっている。分かっているが、どうしても抑えられない感情が沸き上がってくる。 体の底からどす黒い何かが。 「調べろ……誰がやったか……」 「しかし香菜弥嬢―――」 「調べろ……。殺してやる……。見つけ出して殺してやる……」 「っ――」 夜影の体がゾクリと震えた。今まで感じたコトの無い威圧感。香菜弥の顔からは已然、涙が滴り落ちている。 反論すれば自分が殺される。夜影はとっさに悟った。故に何も言えなかった。 今の香菜弥の光景を娘に見せてはいけない。夜影は、香菜弥1人を残しすぐに退室した
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