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美歌は父が出ていった後、写真はそのまま残して和室を後にした。写真を持って行かなかったのは、美歌の些細な反抗である。
美歌は自室に戻ると、ベッドに横になった。
「知秋くん…か…普通科なら棟も違うし、もう会えないかな…」
美歌はぼーっと思った。
「婚約者か…陽人さんってあの有名な…みんなが聞いたら、知秋くんと同じくらい羨ましがるだろうな…私は納得いかないけど。どう考えても政略婚約じゃない!」
美歌は1人でぶつぶつと文句を溢した。
美作陽人は、特進科体育コースでサッカー部のエースだ。勉強もでき、サッカーも巧いことで女の子からよく騒がれる。
「でも、私は…」
その先に誰を思い浮かべた人は、美歌にとっても以外だった。
たった1回会っただけなのに…数時間一緒にいただけなのに、こんなに胸が一杯になるだなんて…
美歌は切ない想いでいっぱいだった。
「こんな気持ちになったのは初めてだな…」
美歌は昼間の疲れからか、うとうとし始めて眠りについた。
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