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初めて会ったガンちゃんに、その生き霊を悲しんで我が事として苦しんでいた。
けだもの姫に怒髪天を突いていた。
出会ったばかりのボクたちを、まるで家族のように守ってくれる。
霊園で見せてくれた、独りぼっちの孤高の聖者の、まばゆいばかりの誇り。
斎藤
「認めるよ。
杉山先生には、景富くんが必要だ。
よ~っく判った。
まだ完全な状態じゃねーけどな?
お前さんの先生は、凄い才能を持った立派な方なんだ」
……………。
ボク
「───はい」
斎藤
「あぁ👍😃──」
やがて、先ほど言いかけていたジンちゃんの質問が繰り返された。
ジン
「アッシたちは、前世の因縁が有るって杉山先生がおっしゃってました。
なら、もしかしたら、けだもの姫とも前世で因縁が有るんじゃないですか?」
杉山先生が先日宿り木に来て、ボクたちの前世を視た時に気にはなっていた。
斎藤
「無い」
斎藤先生は、はっきりと答えた。
斎藤
「杉山先生が最初に疑ったのは、その時代にジンくんにケンタくんを産ませた男だ。
でも、その男は間違いなく今回の怨霊じゃない。
それは、実際にガンに憑依した怨霊を前にして、お前たち全員が共有する前世を直に視た杉山先生が言っている。
彼の探知はかなりの精度がある。私でも及ばないほどだ。
お前たちの前世に、怨霊のけだもの姫はいないよ」
ジン
「……それは、絶対ですか?」
斎藤
「さっき、杉山先生からお前達の事を頼まれた時も言っていたぞ?
間違いなく、けだもの姫はお前さんたちの前世とは関係ねぇ。
岩城先生の感知と並ぶ、天性の探知を持つ杉山先生が言ってんだ。
間違いねぇ…」
……………。
そんな凄い人だったんだ…、杉山先生…。
ジン
「………そうですか。
判りました。では、これからどうしましょう?」
ジンちゃんが言った、まさにその時だった──
斎藤先生が座る園長席の電話が鳴った。
斎藤
「はい、もしもし。斎藤です──」
やがて…
斎藤
「──すぐに岩城先生も、サキさんとこちらに来てください」
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