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村長の屋敷は、小高い丘の上にあり、村全体を見渡せ、綺麗な夕日を見ることも出来る。
ただちょっと不便なのが、村の中心から離れた位置にあるので、そこまで歩くのは遠いということだ。
二人は長い石段を登り屋敷に着いた。登りきってまず最初に目にするのは、その大きな門。いざというとき、村長の屋敷が村人たちの避難場所になるため…というのが、門が大きい理由だ。
ただし、相手が人間の場合のみ。妖怪なら、どうにもならない。
屋敷の地下に掘られている豪に潜るしか、妖怪から身を守る術はない。
だが今は、凜たちがいるので、村が妖怪に襲われる、なんてことはない。
「村長さ~ん。ただ今戻りましたよ~」
門潜り抜け、広い庭を横切ったあと、これまた広い玄関へと足を踏み入れ、帰ったことを告げる。
「おぉ、よくぞお戻りになられました。劾様と村長が、奧の間でお待ちですよ」
屋敷の女中さんが姿を現し、二人に用件を告げ、自分はまた仕事へと戻っていった。
わざわざ雲英に用件を伝えさせに来たのだから、よっぽどのことなのだろう。二人はそう考えていた。
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