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「お二人が妖怪退治に向かってる時に、この村に一番近い村が妖怪に襲撃されましたの。劾が直ぐに駆けつけたけど、助かったのはごく一部。その人たちは今は宿で寝かせていますわ」
ふ~んと美麗の話しに頷く命はあることに気づく。
「…で、わざわざ雲英に俺らを呼びに行かせたのは、それを教えるためだけ?」
不満ともとれる命の意見に、あらあらという顔で美麗は劾を見る。
「襲撃した奴らの頭が、コレを持っていた」
そう言って劾が懐から取り出したものは、真っ黒の羽。カラスのよりも大きく、黒いと言っても、全てを呑み込まんとする深い闇が、そのままその羽に宿った感じだ。
「く…黒羽(くれは)。つーことは…」
「ヤツがいた跡だ」
命にそう答えた瞬間、手にしていた羽に火がつき、瞬く間に燃え尽きた。
「…今日はもう休め」
自分の太刀を持って立ち上がり、部屋を出ようとする劾を凜が制止する。
「どこ行くの?」
「お前には関係ない」
凜の質問にそう答えると、一人でどこかへ行ってしまった。
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