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「気にするこたぁねぇって。劾はああいうヤツなんだしよ」
「そう、なんだけど…ね」
うつむく凜に言葉をかける命。当の凜は劾の背中を追いたい気持ちがあり、命の言葉を今は流している。
「さぁさぁ、劾にも言われましたでしょう? 妖怪退治で疲れたお身体、ゆっくりとお休ませ下さいな」
パンパンと手を叩く美麗の言葉に我にかえる。
「私は…子供たちの相手をしてきます。約束、しているので」
「んしたら、俺は襲撃を受けた村の様子でも見てくるかな。そのあとは助かった村人にも会って話し聞きてぇし」
「そうですか。あまり遅くならないよう、お願いしますね」
あいよという返事を残して、先に命が出ていった。
「それじゃあ、私も行きますね」
そう言って部屋を去ろうとした時、美麗に呼び止められた。
「凜ちゃん、コレを…アナタに預けますね」
そう言って手渡されたものは、真っ白の勾玉。美麗の大切なものの一つ。
「美麗さん、コレって…」
「多分、今の凜ちゃんに必要だと思って。劾のこと、もっと知りたいのでしょう?」
美麗の言葉に頷く。
「あの人の力になってあげて」
どういう意味でそう言ったのか、凜には理解出来なかったが、何かしら理由があってのことだろうと、自分なりに納得した。
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