月明かりに照らされて

16/34
前へ
/245ページ
次へ
    「気にするこたぁねぇって。劾はああいうヤツなんだしよ」 「そう、なんだけど…ね」 うつむく凜に言葉をかける命。当の凜は劾の背中を追いたい気持ちがあり、命の言葉を今は流している。 「さぁさぁ、劾にも言われましたでしょう? 妖怪退治で疲れたお身体、ゆっくりとお休ませ下さいな」 パンパンと手を叩く美麗の言葉に我にかえる。 「私は…子供たちの相手をしてきます。約束、しているので」 「んしたら、俺は襲撃を受けた村の様子でも見てくるかな。そのあとは助かった村人にも会って話し聞きてぇし」 「そうですか。あまり遅くならないよう、お願いしますね」 あいよという返事を残して、先に命が出ていった。 「それじゃあ、私も行きますね」 そう言って部屋を去ろうとした時、美麗に呼び止められた。 「凜ちゃん、コレを…アナタに預けますね」 そう言って手渡されたものは、真っ白の勾玉。美麗の大切なものの一つ。 「美麗さん、コレって…」 「多分、今の凜ちゃんに必要だと思って。劾のこと、もっと知りたいのでしょう?」 美麗の言葉に頷く。 「あの人の力になってあげて」 どういう意味でそう言ったのか、凜には理解出来なかったが、何かしら理由があってのことだろうと、自分なりに納得した。    
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加