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「あぁ~あ…ヒデェ有り様だな、こりゃ」
美麗の村から12里ほど離れた別の村。妖怪の襲撃に逢ったという村に命は訪れていた。
「人に馬に牛。鶏とかもか…? 喰えるもんは全部味見しましたってか…」
道端に転がる仏様に手をあわせながら、地面に穴を掘っていき、埋葬していく。
「ぜってぇ赦さねぇ…。どういう意図にしろ、無関係の人間巻き込んでんだ。その報いは受けさせてやらぁ」
廃虚と化した村の中を歩き回り、これ以上遺体がないか探す。すると、どこからか子供のすすり泣く声が聞こえた。
「生き残り…か? だが、ちょっと…不気味だぜ」
声のするほうへとジリジリと近づくと、子供が二人、崩れた家の下で泣いていた。
ちょうど隠れれる感じで崩れていたので、そこで惨劇から身を守っていたのだろう。
「おぉーおぉー。もぅ大丈夫だぞ。怖いのはもぅいねぇ。ほら、出てきな」
外から手招きをし、子供たちを連れ出した。一人は10才くらいの女の子で、もう一人はその子の弟なのか7~8才くらいだった。
「もぅ大丈夫だかんな。兄ちゃんが安全なとこに連れてってやっからよ」
二人の子供をしっかりと抱きしめ、命は村をあとにした。
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