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「そぉりやぁぁぁあッ!!」
雄叫びとも奇声ともとれる声を発しながら、白基調の袴を纏った彼、命(ミコト)が異形の生物"妖怪"を、自信の手に握る槍"氷鬼(ひょうき)"で次々と薙ぎ倒していく。
「どうだい凜(リン)ちゃん!? 俺の強さ、凄いだろッ!?」
目の前にいた妖怪全て片付けると、少し離れた位置にいた少女に近づく。
「命さん…」
「なになにッ!?」
「一匹残ってますよ」
命に凜と呼ばれた少女が指差す方向には、一番巨大で気味悪い妖怪が姿を現した。
多分さっき命が片付けた連中の親玉。そこいらの大木よりも太い腕に、そこから伸びた指には、全てを抉りとるためだけに生えているという感じの爪が。
なにより頭がなく、人間でいう胸のあたりに一つ目というのが、不気味さをを増している。
「デカイ、面倒なくらいデカイ」
何に納得しているのか、一人で勝手に頷く。
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