月明かりに照らされて

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    「よし凜ちゃん、援護お願い。アレを俺だけでってのは、ちょっと心折れそう」 「劾さんに"俺一人に任せとけぇ~ッ!"って、偉そうに言ってたのに、結局私まで…」 文句を言いながら背中に背負っている火縄銃、通称"種子島"を構える。 彼女の使用武器は普通の火薬で弾を撃つというものではなく、彼女自身の霊力、いわゆる妖術で攻撃する。 火縄銃はいわば、それの媒体。 よって普通ではありえない量の弾を、撃つことが出来る。妖術で造り上げた精霊弾。その気になれば連射だって出来る。 「まぁ、いいじゃん。もっと強くなりたいんでしょ? そのためにゃ、実戦を積むっきゃねぇって」 凜の横で腰に手を当てながら笑う命に、銃口を向ける。 「命さん、くだらないこと言う暇があるのなら、早く片付けましょう」 「へいへい、わかりやしたよ。俺のほうがずぅ~っと歳上なのになぁ…」 両手を上げて肩をすくめてふざけているように見えるが、眼だけは真剣なことを、凜は知っていた。 彼ともう一人、その二人と出会ってから数ヶ月しかまだ経っていないが、それくらいのことは彼女はわかるようになっていた。      
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