月明かりに照らされて

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    「狼虎(ろうこ)、いくわよ」 深紅の衣を風になびかせながら、自分の銃に語りかける。銃から咆哮ともとれる爆音が鳴り響くと同時に、白光りする球が連続して一つ目の両足に突進していき、命中するとメリメリと食い込んでいく。 そしてある程度まで食い込むと、内部で爆発し、肉片と青緑色のの血を辺りに散らばらせる。 一つ目は人間で言う絶叫を空に響かせ、膝から崩れ落ちるも、自分の太い腕と膝でバランスを保ち、なんとか四つん這いで踏ん張っている。 「命さん、今ですッ」 「おうよッ!!」 槍を器用に回し、少し屈むと一気に一つ目との距離を縮めた。 「いくぜぇ氷鬼…存分に暴れてくれッ!!」 氷鬼が命と共鳴する。命が腕を突き出す度に、氷鬼がいくつにも増えたかのように見え、一つ目の身体を貫いていく。 実際は命が高速で槍を突き、氷鬼が"自分の意思"で手の中から伸びていき槍先を対象に食い込ませていく。 次から次へと繰り出される突きは一つ目の胴体をズタズタにしていく。 「さぁ、お寝んねの時間、だッ!!」 一つ目の懐から頭上(頭が無いので、一つ目の真上)へと一気に飛び出し、氷鬼を一つ目の頭へと叩きつける。 砂煙を巻き上げると同時にその巨体を地面にめり込ませ、少し呻いたかと思うと、ピクリともしなくなった。    
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