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「あんだけ打ち込んだのに…マジで?」
唖然とする命。目の前で再び立ち上がる一つ目に、信じられないという心情だ。
「あぁ…あ? 再生…てか、吸収ですか?」
一つ目の周りに転がっている他の妖怪の亡骸を次々に喰らっていく。
「…ダメじゃん」
凜の痛烈な一言が、命を貫く。
「えぇ…それは言い過ぎ。てか、俺"これでもかぁ"ってくらい一撃を決めたんだぜ? 」
命の言葉と一つ目の動きを見て、あるひとつの可能性に気づく凜。
「まさか…あの一つ目…」
二人して目の前にいる一つ目を見上げていると、容姿のかわった一つ目が立ち上がり、咆哮を辺りに響かせた。
槍で空いた穴は全て塞がれ、触手のようなものが背中からウネウネと蠢き、ねじれた角のようなものが目の左右から生えてきている。そしてその印象的な一つ目が…。
「増えたな」
「そうですね、増えましたね」
先ほどは一つ目をギョロギョロさせていたが、今はトンボなどの昆虫によくみられる複眼となって、その部分だけ少し飛び出している。
「…なんて呼ぶよ? 一つ目じゃなくなっちまったぜ?」
「なんでもいいんじゃないですか?」
「あ、そう。んじゃぁ…眼魔で」
一つ目改め、眼魔が再びその咆哮を響かせ、二人に迫る。
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