月明かりに照らされて

7/34
前へ
/245ページ
次へ
    「ダァーッ!! この野郎、鬱陶しいわッ!!」 眼魔から繰り出される触手での突きを横に跳んだり、氷鬼で薙ぎ払ったりして避ける。 凜は眼魔の攻撃範囲外まで後退し、命の援護をしている。 眼魔の触手は攻撃時に尖端が硬質化し、そこいらの鎧をいとも簡単に貫通するほど鋭い。 と言っても、触手自体のサイズが大きく、命が避けた場所に開いた穴は、子供一人が充分隠れれるだけの大きさだ。 つまり、当たれば"貫通"どころか"粉砕"となってしまうというのが正しいのだろう。 「狼虎、雷光よ。もう一度足を止めるわ」 眼魔の脚の付け根、腰のあたりに狙いを定め、引き金を引く。銃口から飛び出した光条はうねりながらも標的に命中する。凜の想像通りなら、コレで眼魔は再び崩れ落ちるハズだったが…。 「…冗談でしょ? 全く効いてない…?」 動揺する凜に向かって必死に攻撃を避ける命が叫ぶ。 「眼だッ!! ヤツの眼を狙えッ!! …って、ドわァッ」 絶え間なく繰り出される触手での攻撃、バカの一つ覚えみたく突きだけの攻撃が、いつの間にやら薙ぎ払いまで覚えたのか、触手をブンブン振り回すようになった。    
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

27人が本棚に入れています
本棚に追加