月明かりに照らされて

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    「なんか言ったかぁ~?」 「別に、何も。ホラ、ボケッとしてると殺られますよ」 「おぉ~。そうだったそうだった」 凜に言われ、再び氷鬼を構える。今度は右手だけで氷鬼を持ち、左手で妖術を扱う。命の妖術は変化により属性が変わり、今は主に水の妖術を扱う。 「今度は、さっきみたいにはいかねぇぞ。跡形もなく消してやっからな」 それに応えるかのように眼魔が吼える。 「それじゃあ…いくぜッ!!」 命が少し屈み、風が吹いたその次の瞬間には、眼魔の頭上に現れ、氷鬼を振りかぶるような姿勢でいた。 「蒼嵐奥義、飛翔爪連迅(ひしょうそうれんじん)ッ!!」 何度も何度も氷鬼を振り回し、その度に槍先から発生した氷の刃が眼魔を捉え、切り裂き、貫通していく。 その破壊は先ほどと比べたら凄まじいもので、硬質化して命に迫る触手さえも、軽々と粉砕するほどだ。 徐々に眼魔の身体が削れていき、二人の想像していたものが露になる。 「凜ちゃん、アレだッ!! 撃てッ!!」 「言われなくてもッ!! 狼虎、風伐神(ふうばつしん)」 狼虎が唸り、凄まじい風が一つの塊となって銃口から飛び出し、眼魔を押し潰していく。   
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